千葉電力株式会社 スポーツ振興企画③

スポーツ振興執行役員 宮澤ミシェルが、脊髄損傷者の再歩行を目指すトレーニングジム『J-Workout』の魅力に迫る!

宮澤ミシェル 対談 J-Workout株式会社 代表取締役 伊佐 拓哲

ミシェル:本日はお聞きしたい事がいっぱいあるのですが、まずはこの脊髄損傷の方々が歩けるようになるために思いっきりトレーニングができるこの施設がある事を、たくさんの方に知っていただいて、ここに通う皆さんが歩くためにトレーニングだけでなくいろいろと積極的になっていく事が素晴らしい事だと思うのですが、国とかが何かしらの援助はしてくれないのでしょうか?

伊佐代表(以下敬称略):もちろん署名を集めたり、いろいろと活動をした事はあるのですが、今の国の医療保険の制度にあてはめようとすると、この症状の人にはこのトレーニングをどれくらいすると効果が何%あるとか、かなり具体的なエビデンスを集めなくてはならなくて、当施設の会員様が現在500名くらいいらっしゃるのですが、これくらいの数字では全然足りなく、しかも脊髄損傷のあらゆる症状の中から一つずつにこの症状にはこれが効くとかやると10年ぐらいはかかるほど、とてつもないステップを踏んでいかなければならないのです。
そうなると現実的に考えて医療保険では厳しいので、医療保険ではない、少し違う制度ができていく事ができないかという問題提起をしていきたいと考えるようになりました。

ミシェル:伊佐代表が、今お話いただいた問題提起をしようと考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

伊佐:僕は20才の時に事故をして、障害が重かったので、トレーニングをしないと寝たきりになっちゃうと思い、23才の時にいろいろなジムに電話をしたけど、専門のマシンがないなどトレーニングができる環境がないところがほとんどで、その中で脊髄損傷でもトレーニングができるジムがアメリカにはあると聞いたのです。
たまたまですがそのジムが、中学からの親友だった後の弊社の創設者でもある仲間が住んでいるサンディエゴにあって、それを見に行った時に、身体の大きなアメリカ人がガンガントレーニングをやっていてすごいなと思いました。

ミシェル:アメリカには当時から医療保険があったのですか?

伊佐:まだなかったのですが、海外は寄付の文化があって、それを集めてこれで一年通いますとか、交通事故などで保険が出るケースが多かったみたいで、それらを費って通っている人が多かったです。
ですから、そこで日本でこれを作ろうじゃないかと思って、まずは学ぼうと思って、その会社に入社してトレーナーを二年くらいやってから、2007年に日本に帰ってきてこのジムをスタートしました。

ミシェル:こういうトレーニングジムがある事で脊髄損傷の方の日常生活が変わってくると思うのですがいかがですか?

伊佐:まずは歩きたいってことからスタートしているので、それはもちろん変わってくると思います。実際にこういったジムを求める方も多かったので、まずは費用を払える人からでもやる必要があるなと思って始めました。
そうしたら少しずつ口コミとかで増えてきて、現在東京・大阪・福岡で510名ぐらいまで増えてきています。

ミシェル: 治しますよ(歩けますよ)とは言い切れない中、そうじゃなくてここは何を変えていく場所なのですか?

伊佐:まずは納得行くまでやれますよって環境がある事が第一です。
何かできる事が一つでもできるようになる。
昨日までベットから出られなかった人が、まずは車椅子に乗れた、車椅子に乗れた人が外に出られた。そこから自分で車椅子を漕げるようになったというように一つ一つできることを増やしていかないとゴール(歩く)までは辿りつけないで、その一歩ずつを踏み出すためにやるしかないんですよね。そういった事ができるようになるための環境がある場所だと思います。

ミシェル:その時点でトレーニングをされている方に何か違いが出てきているんじゃないですか?

浅見さん(トレーナー):そうですね!生活のリズムが変わるので、まずはここにトレーニングに行くって言うモチベーションが生まれます。
今まで家で寝ていたのに、家でも車椅子に乗るようにしようとか、ここで知り合う人同士で、あの人も頑張っているから、私も頑張ろうとか、今まで行けなかったところにもトレーナーとなら行ってみようとか、今度は家族でとか一人でとか、どんどん変わってくるので、そうするとトレーニングへのモチベーションも変わるし、今までやりたがらなかったことも、やってみよう!というように変わってくるのでトレーナーとして私たちも嬉しいですね!

ミシェル:日常生活にこのようなトレーニングがあることで充実感が全く変わってきますよね?

伊佐:そうですね。今までは得られる情報も少なすぎるので、車椅子で電車に乗れるのとか?飛行機は無理ですか?とかのレベルもわからなくて一歩を踏み出す勇気もなかったのが、こういったコミュニティがあることで、そういう事を実際にやっている人もいるので情報がドンドン入ってくるので、そこから一歩を踏み出せるようになっていきます。
以前は脊髄損傷っていうと寝たきりで死ぬのを待つしかないような時代もあった中、歩くことは諦めろ、失ったものを数えないで、その代わりに今あるものをどうやって使って残りの人生を生きるかを考えるようになり、その結果、脊髄損傷でも車椅子でも生きていけるようなりました。
これでも当時としては革新的でしたが、今はさらに時代が変わって、やるだけのことをやる事ができたら、歩けるかもしれないという期待をしても良いという感じまでになってきました。
僕もアメリカのジムを見て概念が変わりました。これだけトレーニングをやっていたら歩けるようになるんじゃないか?と。
日本にはここまでトレーニングができる環境が今まではなかったし、どこのジムでも断られるのに、ここではこれだけ身体を動かせて、サポートもこれだけしてくれる人がいたら、きっと歩けちゃうんじゃないの!という可能性を感じるようになりました。
だからこのジムは、歩きたいって思いを叶えるっていう気持ちからスタートしている会社でもあります。
その過程でまずは一歩を踏み出してもっと情報を知る事だったりして、一歩一歩進んでいくしかないんです。
過去にも(脊髄損傷の人が)奇跡的に歩けたって例もありますが、その人たちが歩けるようになるために、ただ寝て待っていたかっていうとそうじゃないんですよ。
絶対に、歩けることを信じて、たくさんの努力をして、なおかつ家族や友人の献身的なサポートがあって同じようにやって歩けるようになったわけですよ!

ミシェル: なるほど、それは確かに間違いなくそうですよね!
さてそれでは伊佐代表は、今後はこのような施設が国内でどのように認められるようになるのが一番いいですか?

伊佐:これからは未病(病気未満)という 病気にならないためにどうこうしませんか?といった元気でいる時間を長くするジャンルが注目されてくると思います。
そういった、より良く生活をしていくためのジャンルが少しずつできる事によって、サービスが拡げていく事ができると思うんです。
僕たちは壊れた神経を治そうとする医療ではなく、今ある身体と残っている神経を使ってどうやって機能を取り戻していくのかに取り組んでいるので。
結局(トレーニングもしないで)座ったままだと維持すらできないですし、どんどん足とかも細くなっていっちゃい、最終的には壊死してしまったりすると、もっと寝たきりになってしまって、もっとお金もかかってきてしまうので、何もしないのではなくその人がアクティブに動いて少しでも防げる時間があれば、バスケとかテニスとか何でもやるべきだと思うんですけど、それに対しては今は国からはお金が出ない訳ですよ。
車椅子のバスケ選手にしたって、車椅子にすごいお金をかけて、遠征費もかかりますけど、かと言ってプロで稼げるかっていうとそこまでは難しい訳です。
だからそういうスポーツを続けていく環境をもっともっと支援していくことで、同じようにスポーツをやりたい人が増えて、その人たちがアクティブになれば、寝たきりから脱出して、仕事もして、税金納めてというサイクルができるし、病院のお世話にならなくてすみますし、介護される時間も減るのでそれなりに公的な負担は減るはずなのです。
だからスポーツを続けていく環境作りにお金を使っていく方が幸せじゃないですか!
寝たきりのまま看護師さんやヘルパーさんが毎日来てくれて過ごすよりも、もっと運動することのような挑戦する事にお金を費えて、ヘルパーさんたちのお世話にならなくて済むって方の発想に変わっていけば断然いいと思います。
だから今後はそこに対しての公的なお金が費われる流れができればいいですね!

ミシェル :国に対してもそこにお金が出るようになることを期待していきたいですね!
それを伊佐代表がパイオニアとしてこの分野に働きかけてアプローチされて取り組まれている事にびっくりしましたよ。この取り組みが拡がりますます普及していくことを願います!

伊佐:スタートは歩く事でしたが、今は一生をどう生きていくか?というとこにまで考えるようになりました。
それというのも僕自身がとても後悔している事が多くて、これもうちょっと早くこれを知っていればなという事が多いんです。
だからそう言う情報をどんどん出していく事で、僕がした苦労はしないで、もっと良く出来たはずの幸せな苦労を皆さんができるように情報を発信していったりできるコミュニティを大きく作っていって、そのコミュニティから、その声を届けていってこのジャンルを確立していく事に繋がるのではないかと考えています。

ミシェル:素晴らしいですね!新しい未来につながるお話を本日はありがとうございました!!

 

施設紹介

ジェイ・ワークアウト屋内写真1
▲施設内は明るくトレーナーの皆さんの挨拶が気持ちいい素敵な空間です。
ジェイ・ワークアウト屋内写真2
▲独自に開発されたトレーニング器具が多数常設されていてフィットネスというよりは、トレーニング施設といった方が適切だと感じるほど本格的なトレーニングジムです。
ジェイ・ワークアウトトレーニング写真
▲脊髄損傷の方をトレーナーの皆さんが支えて一緒にトレーニングを行うので安心して充実したトレーニングが行えます。

宮澤ミシェルのここがすごい!

宮澤ミシェルのここがすごい

ジェイ・ワークアウト

〜脊髄損傷者の再歩行を目指すトレーニングジム〜
ジェイ・ワークアウト株式会社
住所:東京都江東区木場2-17-13 第二亀井ビル3階

〈お問合せ先〉
ジェイ・ワークアウト株式会社 03-5809-9390

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